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さて、今回もCRM/SFAにおける企画のまとめ方を続けたいと思います。お題は「営業力強化の為のCRM/SFA導入」です。 経営層・現場層へのインタビュー (前回のおさらい) 前回の記事 では、企画をまとめるにあたって、まずしっかりと現状把握する必要があり、そのためには現状の「問題」を経営層・現場層にインタビューするのが良い……という内容を書きました。 今回は、その「問題」を聞き出した後の、整理の仕方について書きたいと思います。 インタビューした問題の整理・分類 さて、ある程度の人数に対してインタビューをしたならば、聞き出した問題は、かなりの数になるかと思います。これらをすべて企画書の現状に記しても、あまり意味のある内容にはなりませんので、整理・分類していくことになります。 その方法としては、KJ法 のように同種の問題を並べてグルーピング(分類)することが、一般的には多く行われています。 しかし実際にやってみようとすると「あれ?」と思うことが多いはずです。一つは「問題」の粒度です。 うちの会社は営業力がない うちの営業は新規開拓ができない うちの営業は既存客へのフォローがおざなりだ 新規開拓するにも、開拓すべき顧客リストがない うちの営業はお客様の懐に飛び込むのが下手だ 事務処理に追われて、新規開拓に割く時間がない 属人的な営業スタイルで、組織で戦えていない マネージャがプレイヤーなので、部下を指導できていない 営業のスキルが低く、御用聞きしかできていない 営業を教育していく制度がない(商品知識が足りない) インタビューで上記のような話がバラバラと出てきたとします。これらをグルーピングしようとすると……「うちの会社は営業力がない」に全部集約されてしまいそうです。 粒度を落として「新規開拓」でまとめると、今度は……2番・4番は良いとしても、5~9番はどうしましょう? これらは「既存客へのフォローがおざなり」にも分類されそうです。 それでは、さらに粒度を細かくしてグルーピングすると、どうでしょうか? 5番・9番は、営業スキルの低さを指摘していますから、良く似た問題のように思います。7番・8番は、組織のことを言っていますので、これもグループ化できそうです。 いかがでしょうか?「粒度」の話は、できるだけ細かいレベルから見ていき、まとめていくのが良さそうですね……「おいおい! 1番・2番・3番・4番・6番・10番はどうするんだ!?」 問題の「本当の意味」を考える これらを整理する際には、問題の「本当の意味」をよく考える必要があります。 1~3番では「今こういう状態だ」=「起きている現象」を指摘していますね。……人によっては「そんなことはない!」と思うかもしれませんが、その意見はいったん保留にさせてください。 4番も、現象について話していそうですが……発言の意図を考えると「道具がそろっていない」=「手段」のことを指摘しているようです。 そう考えると6番はどうでしょうか?これは「原因」について話していそうです。……ここでも、それは「言い訳」だという人もいるかと思いますが、その意見もいったん置いておきましょう。 次に、先ほど同種として分類した5番・9番はどうでしょうか? スキルがなくて営業が上手くいかないことの指摘ですから、これも「原因」ですね。7番・8番は、組織的な営業ができていない話なので、これも「原因」。そして10番は「手段」としましょう。 問題の多くは入れ子状態 さて、ここで勘の良い方であれば、さらに気付くと思います。「組織的な営業ができていない」は、たしかに新規開拓や、既存フォローが上手くいかない「原因」と言えるけれど、「現象」とも言えるではないか?……確かにそうです。 ここに、問題分析の難しさがあります。問題の多くは入れ子状態になっているのです。 有名なトヨタの なぜ5回 は、原因を徹底的に掘り下げることで、改善事項を見つけていきます。ここでは「組織的な営業ができないのは、なぜか?」ですね。整理すると、下図のようになります。 「意味」の捉え方についての補足 意識の問題にせず、事実を事実として捉える ここまで読んでいただき、疑問も多いかと思いますので、「問題の意味」について飛ばした部分を解説します。たとえば、6番「事務処理に追われて新規開拓に割く時間がない」は、人によっては単純に「言い訳」ではないか?と捉える人もいるかと思います。 具体的には「新規開拓が得意なA君は、他の営業マンより事務処理数は多いにも関わらず、新規開拓に多くの時間を使い、成果もあげているではないか? したがってこれは会社としての問題ではなく、単なる言い訳に過ぎない」……こういう意見も、きっと出てくるでしょう。そんなときに企画をまとめる側の人は「なるほど! たしかにそうだ!」と思ってはいけません。 「意識の問題だから、皆がA君のように頑張れ」となってしまうと、それはメンターやカウンセラーでないと解決できない問題になってしまいます。「事務処理が多く、営業活動の妨げだと、多くの営業マンが感じている」のであれば、その事をファクトとして捉えることのほうが重要です。 ※ワークサンプリングなどで、実際に事務処理に掛かっている時間まで計っても良いですが、企画の段階では、そこまでしなくても良いかと思います。また「事務処理に追われて新規開拓に割く時間がない」を、「事務処理に掛かる時間が多い」と言い換えているように、問題を表現するときは修飾をなるべく省いた簡素な文章にすることが大切です。 手段の問題であれば、それ以上の深掘りはしない 「手段」としたところを、上の階層からみて「原因」とも表現できるのではないか? ……たしかにそうなのですが、ある程度、明示的な手段の問題であれば、そこで解釈を止めないと問題が逆に広がっていき、解決策が見えなくなってしまいます。 一番分かりやすい例としては、10番「営業を教育していく制度がない(商品知識が足りない)」→「営業への教育がない(手段)」のくだりです。この問題に対して、際限なく「なぜ」を繰り返すと、どうなるでしょうか? 「そもそも経営陣が営業に対して投資していく意思が少ない」 「なぜ?」 「経営陣は営業現場に対しての理解がない」 「なぜ?」 さらに「なぜ」を繰り返すと、日本の教育制度が……文化的に……のような話になり、最後は哲学的な話にまでなります。企画においては「手段」の話が出てきたら、いったんそこで止めることを意識すべきです。 そう考えると逆に、今回の例では「手段」の話が未だ2つしか出ていませんので、明らかに問題の深掘りが不足していることも理解いただけると思います。 「営業スキルが低い」という問題も、本当に教育だけの話なのか? を考えれば、それ以外にもあるよ、となる可能性が高いのではないでしょうか?「組織的な営業ができていない」「事務処理にかかる時間が多い」は、もう一段「なぜ」を行って、手に落ちる解決手段を見つけたほうが良いでしょう。 問題分析は、自分の整理のために行う ここまで書いておいてハシゴを外すようですが、上記のような画像をそのまま企画書に載せることは、おすすめできません。 今回はあくまで、インタビュー後の問題整理を(頭の中で)どのように進めるべきか? の参考として書きました。但し、企画書をまとめるために現状の問題分析はとても重要です。頭の中で整理ができてしまえば。あとは表現方法が主題となっていきます。 今後の連載では、この段階から実際に「営業力強化の為のCRM/SFAの導入」という企画書をまとめるために、どうすべきかを書いていきたいと思います。 ”問題を整理できれば、企画すべき内容はおのずと見えてくる。但しその作業は決して簡単な作業ではない。この点においては習うより慣れる方が近道だろう”
記事を読む前回はダメな企画書に関して書きましたが、今回からは企画のあるべき姿を書いていきたいと思います。 ちなみに、日本企業の場合CRM/SFAに限らずトップダウンで物事が決まるケースは殆ど無い様に思います。 導入のきっかけはトップだとしても、検討のボールは下に渡されます。「そろそろうちもCRMとか検討してみてはどうか・・・」 といった一言です。殆どのトップは具体的に「CRMを導入して〇〇××をしなさい」とは言いません。 きっかけはトップだろうと、現場からの要望だろうと、検討するはミドル層です。部署は私の経験上からだと、経営企画、営業企画の部課長クラスの場合が殆どだったと思います。 何故こんな事を最初に書くかというと、基本的に日本企業の場合、企画をまとめるうえで、経営陣はもとより現場を含めて関係者全員からの(ある程度の)総意が得られないと新しい事に取組めないという事を前提にする必要があるからです。企画の取りまとめを任された人間からすると迷惑な話しです。何せ現場の協力・理解不足で失敗したとしても自分の責任になる訳ですから・・トップ層と現場の板挟みに合って・・・ しかし、この点(全員からの合意獲得)をツールベンダーに求める事は、やはりかなり筋違いな話しです。ツールベンダーに対して「現場が入力しなかったらどうするんだ!」的な脅しをする人をたまに見かけますが、以前も書いたとおりツールベンダーの役割はより良いツールを開発して提供する事ですから・・・ とは言え企画の担当者が「現場の皆様、お忙しいとは存じますが何卒ご協力お願いします」的に下手に出ると、これも失敗の呼び水となります。この点はとても重要です。現場に配慮しすぎて企画がまとまらないケースが実に多いのです。例え、自分が営業企画の課長で、相手は役職では下の営業の平担当者だとしても、ラインの上に居る営業本部長に怒鳴りこまれる可能性は充分にある訳ですから、気を使いたくなるのは解りますが・・・(良くも悪くも日本企業は現場が強いので) さて、前置きが長くなりましたが、企画をまとめるにあたってまず最初にやるべき事は「現状を正しく把握する」事です。
記事を読むさて、今回はCRM/SFA導入において企画のまとめ方に関して書きたいと思います。 前回も書いたとおり、CRM/SFA導入の成否はツール選定の前、企画段階でほぼ決まる。と書きましたが、企画段階のアウトプットは「企画書」になりますので、最初にダメな企画書について書きたいと思います。CRM/SFA導入以外でもここは共通だと思って頂いて構いません。 ” 「こんな企画書はダメ!!」 ” 1. ツール導入のメリットばかりを並べている 要は、ベンダーの受け売りです。このシステムを導入すればこんな幸せになれます、みたいなことを並べている企画書……説明は不要ですね。これは駄目です。 ちなみに典型的なのは、経営者のメリット、現場のメリットなどと書かれているものです。 特に経営者側に対して、「保有案件の状況がリアルタイムで解ります」「営業の訪問件数(状況)が解ります」「ターゲット顧客へのアプローチ状況が解ります」「案件のパイプラインが分析できます」etc. と書かれていたりしますが、「製品パンフレット=企画書」ではありません。 2. 言葉が曖昧、抽象的 「営業力の強化」「顧客満足度の向上」「業務の効率化」「活動の底上げ」「プロセスマネジメント」……いろいろありますが、たとえば、あなたがサッカーチームのメンバーだとして、監督から「攻撃力強化する必要がある!」とだけ指示されても困りますよね。 「なるべくパスを繋いで持ち込むのか」「ロングレンジからでもシュートを狙う」「ワイドに展開して、サイドから攻撃する」「ドリブルで中央突破を図る」など、具体的にしてくれないと……困ります。 3. 言葉がバラバラ 2番と似ていますが、よくあるのが、タイトルや目的には「営業力強化の為の改革」となっているのに、本章では「改善」や「変革」になってしまっている。他にも「業務プロセスを見直す」と「業務フローを変える」「仕事のやり方を変える」とかページが変わる度に言葉使いが変わるケースなど、言葉がバラバラに使われている企画書……。 「改革」と「改善」では言葉の意味が違いますから、どのレベル感で仕事のやり方を変えるのか、印象が全く異なってきます。同様に「業務プロセス」と「業務フロー」も意味が違います。言葉使いが統一されていないと「結局何がしたいの?」と思われてしまいます。 4. 対象範囲や期間が曖昧 「営業力強化」であっても実際、会社の業務というのは一部門だけで回っている訳ではありません。 たとえば「営業力を強化するには、まずは新規開拓をもっと積極的に行っていく必要がある」と仮説を立てた場合は、新規顧客から受注を取ってきたときにインセンティブを高めに評価する、などの施策が必要になってくるかも知れません。そうすると「人事」も絡んできますので範囲は「営業部」だけではなくなります。 あるいは「営業が既存客からの保守・サービスの窓口になっていて、新規に割く時間がない」といった場合もあるかもしれません。その場合も範囲は「営業部」だけではなくなります。 とはいえ部門や業務領域を越えての取組みは非常に大変ですから、範囲・期間を明確にすることはとても重要です。 5. ロジックが無い 企画自体に、根幹となるロジックが無いため、ページ構成に脈略がないことがあります。たとえば…… 1. CRM/SFAツールの紹介 2. 顧客DBの構築の重要性 3. 現状の顧客管理のやり方 4. 営業担当者からの要望事項 5. 営業のプロセスについて 6. CRMの運用体制 7. 体制・費用 8. 期待効果 このようなページ構成になっていると、「何をどう変えて、何を目指すのか?」がまったく伝わりませんし、各ページのつながりもありません。 6. 目的が整理できていない これもロジックが未整理であることが原因です。たとえば…… 1. CRMシステムを導入して全社顧客データベースを構築する ……目的ではなく「作業」の話ですね。 2. 営業活動の抜け漏れをなくす ……これは目的として適しています。 3. モバイルの活用 ……目的ではなく「手段」の話です。 4. 部門間連携を実現 ……目的ではなく「結果」の話、でしょうか? 「営業力強化」ですから、「目的」はそれに沿ったものである必要があります。 「CRM/SFAを導入する際には「目的」をしっかりと設定する事が重要だ」という話が良く出てきますが、間違った「目的」を設定しても間違った道しか進めませんのでご注意を。 7. 細か過ぎる 顧客管理の項目がどうした、案件のプロセス管理がどうたら、営業活動の報告はどうあるべき……。 やたらと細かいことばかり記載されていると、本題が何なのかが伝わらなくなります。企画の重要な「幹」(ロジック)をしっかりと作り、必要以上に情報を盛り込まないことが重要でしょう。 まとめ 以上7つ挙げましたが、いかがでしょうか? ちなみに製造業などでは、企画書は1枚のA3用紙にまとめるという文化があり、個人的にあれはとても難しい仕事です。新聞の構成を考えるのと同じだとは思うのですが、やはり職人的センスがいるというか、作り慣れていないと自分の伝えたいことをどうまとめれば良いのか、とても悩みます。 企画書は作ることでなく伝えることが目的ですから、A3に収まる程度のボリュームにまとめることも、大切なのかもしれません。 少し話がそれてしまいましたが、今回はダメな企画書の例を挙げました。次回からは、実際にどのように作っていくべきか? を書いていきます。 ”企画をしっかりと組み立てなければ、CRM/SFAの導入を成功に導くには難しい。だが、企画書を作る事自体があなたの仕事の目的でもない。企画書をまとめる事の意味と意義を良く考る必要がある”
記事を読むさて、ここからは実際にCRM/SFAの導入を検討している企業が具体的に何をしていかなければならないか?を書いていきたいと思います。 CRM/SFAの導入を検討するきっかけというのは様々でしょう。「営業力強化」「マーケティング活動の効率化」「顧客満足度の向上」・・・中には「今使っているシステムが保守切れになる為」というのもきっかけとしてはあるでしょう。 今回はケースを絞る為「営業力強化の為、CRM/SFAの導入を検討」とします。この記事を読んで頂いている貴方が検討を進める担当となったとして、まず何を行いますか? ・とりあえず、Webで検索して目にとまったツールベンダーに資料請求 その後・・・ ・ツールベンダー数社からデモプレゼンを受けて比較検討 ・一番良かったツール(機能、価格、プレゼン内容)を選択して「発注」 ・ツールベンダーに主導してもらいながら、導入の打合せ開始~ 統計を取った訳ではないので確定する訳にはいかないですが、私はこの業界に20年以上関わっていますので、その経験をもとにするならば、 この様な流れでツール選定、導入を行った企業は99%失敗します!! 何故でしょうか?
記事を読むさて、CRMやSFA導入に関して検索すれば色々と記事が出てきますが、基本的にどれもツールベンダー※の中の人が書いたものばかりです。 「SFA導入で営業の受注率30%アップ」的なPR記事も多いですが、ツールベンダーとしてでは無く、第三者として数多くの導入を支援してきた私から見れば「ここが変だよ」が一杯あります。 例えば、SFAを導入しても営業の受注率が向上する事は論理的にあり得ません。当たり前ですが、SFAシステムが自動でお客様と商談を進めて受注を取って来る訳ではありません。もし、受注率が向上したのであれば、それは「営業」のやり方が今までと変わったからです。即ち「訪問件数が増えた」「訪問先が変わった」「訪問のタイミングが変わった」「商談の進め方(質)(話し方、聞き方)が変わった」です。SFAシステムの導入が何かしらのきっかけになる可能性はありますが、そう簡単に「今までのやり方」は変わりません。(これは何も営業に限った事ではありませんが・・・) また、ツールベンダーは貴方の会社の営業をどう変えるべきか指導してくれる訳でもありません。あってもオプションのメニューでそれっぽい研修がある程度で、後は項目等の設定を手伝ってくれるだけです。 実際に、導入支援に来た人達はどう見ても社会人1,2年目。ようやくビジネスマナーを覚えた位の子達が「どういう項目が必要ですか・・・」と聞いてくるだけ・・・導入中のユーザ企業から「このままでは上手くいきそうもない。どうしたらいいんだ?」といった相談を何度かもらった事がありました。 しかし、見積を見せて貰うと「要件定義〇〇万円」となっているだけで、コンサルティングを受ける内容になってる訳ではありませんし、費用的にも、プロのコンサルに頼むなら桁が違うな~というのが感想で、ベンダーに過剰な期待はせず自分達でなんとかしましょうよ。というアドバイスをするのが関の山です。 おや!?
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