見込み客の獲得や管理では、「営業リストはあるものの、どこからアプローチすればよいかわからない」といった課題が生じがちです。リストに載っている見込み客は、関心の度合いも検討状況もそれぞれ異なり、その違いが整理できていないと、誰から対応すべきかを判断しにくくなります。
本記事では、見込み客の意味と種類を整理したうえで、獲得方法、リストの作り方、アプローチと育成、管理方法までを順に解説します。自社の運用を見直す際の参考にしてください。
見込み客とは?見込み顧客の意味と対象
見込み客とは、将来購入・契約につながる可能性のある人や企業を指します。一方、潜在顧客は見込み客になる前の段階にある層です。将来顧客になる可能性はあるものの、商品・サービスへの具体的な関心や検討はまだ明確になっていません。
見込み客と潜在顧客をどこで分けるかは、企業によって異なります。たとえば、関心よりも、接点の有無や営業活動での管理状況を基準にする企業では、関心がまだ確認できていない相手も見込み客に含まれることがあります。そのため、本記事では、主に自社の商品・サービスへの関心や接点が確認できる人や企業を見込み客として想定しています。
▶ 用語の違いについては、こちらで詳しく解説しています:客・顧客・見込み客・潜在顧客の違いと使い分け
見込み客・見込み顧客・リードの呼び方
「見込み顧客」は、見込み客と同様の意味で使われる呼び方です。どちらを使うかは、企業や部署の慣習によって変わります。表記も一定ではなく、送り仮名を省いて「見込客」と書く場合もあります。
「リード(Lead)」も、見込み客を表す言葉としてよく使われます。リードと呼ぶ範囲は企業によって異なり、連絡先を取得しただけの相手を含める企業もあれば、一定の関心を確認した相手に限る企業もあります。社内でも人によって捉え方が違うと、同じ相手をリードとして扱うかどうかで判断が分かれかねません。自社で定義を決めておけば、こうした食い違いを防ぎやすくなります。
見込み客に当たる相手の具体例
BtoB企業の場合、次のような相手が見込み客に当たります。
- 自社サイトから資料請求をした企業担当者
- 自社主催のセミナーに申し込んだ人
- 展示会のブースで名刺交換をし、製品について質問した人
- 問い合わせをしたが、導入時期は未定の企業担当者
ただし、これらの行動だけで購買意欲が高いとは判断できません。資料請求や名刺交換は接点の一つであり、関心の度合いや課題は、その後のやり取りで確かめていく必要があります。
また、Webサイトの訪問者が増えても、見込み客が増えたとは限りません。訪問者の中に自社に関心を持っている人がいたとしても、誰なのかがわからなければ、連絡も管理もできないためです。資料請求やセミナーの申し込みなどで連絡先を把握できた段階で、初めて営業活動の対象として扱えるようになります。
見込み客の種類|関心度・検討状況で整理する

見込み客の関心度や検討状況は、それぞれ異なります。全員に同じ対応をすると、情報収集中の見込み客には負担になり、検討が進んだ見込み客には物足りなくなりかねません。そのため、状態に合わせて分け、対応を変えていきます。分け方の一例が、「コールド」「ウォーム」「ホット」の3段階です。
| 分類例 | 状態の目安 | 確認できる情報の例 | 対応の方向性 |
| コールド | 自社への関心が低い、または関心の有無がまだわからない | 名刺交換のみ、前回の接点から期間が空いている | 課題整理に役立つ情報を届け、関心の有無を確かめる |
| ウォーム | 商品・サービスに一定の関心がある | 資料請求、セミナー参加、メールでの質問 | 事例や比較材料を届け、課題や検討状況を確認する |
| ホット | 具体的な導入を検討している | 見積もり・デモの依頼、導入時期や予算に関する相談 | 課題・条件を詳しく聞き、個別の提案につなげる |
この3段階は決まった型ではなく、自社の営業プロセスに合わせて段階を増やしたり減らしたりする場合もあります。また、分類は一度決めたら終わりではありません。見込み客の関心や検討状況はやり取りの中で変わるため、資料請求などの行動だけで決めつけず、その都度見直していきます。
見込み客の獲得方法|対象の決め方と接点のつくり方

見込み客を獲得するには、自社の商品・サービスが役立つ企業や担当者を見極め、オンライン・オフラインの施策で接点をつくります。
ただ、名刺交換やセミナーの申し込みが増えても、見込み客の関心や課題を把握できていなければ、その後の対応を決められません。接点を持った後のやり取りで関心や課題を確かめていけば、見込み客に合った情報を提供しやすくなります。
接点を持ちたい企業・担当者を決める
最初に、自社の商品・サービスで解決できる課題を整理します。そのうえで、その課題を抱えやすい業種や企業規模、導入を検討する担当部門を想定しましょう。対象が曖昧なまま接点を増やすと、自社の商品・サービスを必要としていない企業や担当者も含まれやすくなります。
オンラインで接点をつくる
オンラインでは、記事や広告、セミナーなどを通じて見込み客との接点をつくります。主な施策は次のとおりです。
- SEO対策:SEO(検索エンジン最適化)とは、検索結果で上位に表示されるよう工夫することです。対象層の課題に役立つ記事を発信し、検索から自社サイトへ訪れてもらいます。
- リスティング広告:検索キーワードに連動して表示される広告です。特定の課題を調べている人に、自社の情報を届けられます。
- オンラインセミナー(ウェビナー):対象層の課題をテーマにした講座を開催し、参加者との接点をつくります。申し込みの際に、所属や関心のあるテーマを把握できます。
- SNS:業界の情報や自社の取り組みを発信し、自社を知ってもらうきっかけをつくります。効果は対象層の利用状況によって変わるため、よく使われているかを確かめてから取り入れます。
記事や広告を通じて自社サイトに訪れた人には、資料請求や問い合わせ、セミナーの申し込みなどを案内します。連絡先や関心を把握できれば、その後の個別対応につなげられます。
展示会・訪問・紹介から接点をつくる
オフラインでは、展示会や営業活動、紹介を通じて接点をつくります。主な施策は次のとおりです。
- 展示会への出展:ブースを訪れた来場者と直接対話します。
- 営業活動:対象企業へ訪問や電話でアプローチし、自社の商品・サービスを紹介します。
- 紹介:既存顧客や取引先からの紹介を通じて、新たな企業や担当者とつながります。
展示会や訪問営業では、相手と直接話しながら関心や課題を確認できます。たとえば展示会では、名刺交換の際に関心のある製品や困りごとを一言でも聞き取っておきます。その内容をメモしておけば、後日の連絡で何を伝えるべきかを判断しやすくなります。
オンラインとオフラインの施策から、自社の商品・サービスが役立つ企業や担当者に合った方法を選び、接点を増やしていきましょう。
見込み客リストの作り方と管理項目
獲得した情報は、担当者のメモや名刺入れ、メールなどに分散しがちです。情報が分散したままでは、対応状況を把握しにくくなり、連絡の漏れや重複につながるおそれがあります。次の対応に使えるよう、見込み客リストとして整理しておきましょう。
企業・担当者・接点・次回対応を記録する
見込み客リストには、連絡先に加え、接点の経緯や関心、次回の対応予定などを記録します。主な管理項目は次のとおりです。
| 項目 | 記録する内容の例 | 記録する目的 |
| 企業情報 | 会社名、業種、所在地 | アプローチする対象かどうかを判断する |
| 氏名・部署・役職 | 担当者名、所属部門、役職 | 誰に何を伝えるかを判断する |
| 連絡先 | メールアドレス、電話番号 | 次の連絡手段を確保する |
| 獲得経路 | 資料請求、展示会、紹介など | 接点の経緯を把握し、施策を振り返る |
| 関心・課題 | 関心のある製品、相談内容 | 提供する情報や提案内容を選ぶ |
| 関心度・検討状況 | コールド・ウォーム・ホットなどの分類 | 対応の方向性を決める |
| 最終接触日 | 最後にやり取りした日 | 連絡が途切れている相手に気づく |
| 自社の担当者 | 自社側の対応担当者 | 対応の重複や漏れを防ぐ |
| 次回対応 | 予定日と対応内容 | 対応の先送りを防ぐ |
| 連絡可否・配信停止 | メール配信の停止希望、電話連絡の可否など | 意向に反した連絡を防ぐ |
管理する項目は、自社の営業プロセスに合わせて選びましょう。
関心や課題など、まだ確認できていない情報は推測で埋めず、「未確認」と記録しておきます。誤った情報が残っていると、後から見た担当者が状況を読み違える原因になるためです。
重複・更新漏れ・連絡可否を確認する
見込み客リストは、新しい情報の登録や見込み客の状況の変化によって、重複や情報の更新漏れが生じることがあります。次の点を定期的に確認しましょう。
- 同じ相手の重複:展示会と資料請求で同じ人が2回登録されていると、複数の担当者が別々に連絡してしまうおそれがあります。
- 古い情報:異動や退職で、担当者や連絡先が変わっている場合があります。最終接触日が古い相手から優先して見直すと効率的です。
- 自社の担当者が未設定:担当者が決まっていない見込み客は、誰も対応しないまま放置されやすくなります。
- 連絡可否・配信停止:メール配信の停止や、電話での連絡を望まないといった希望が、リストに記録されているかを確認します。記録が漏れていると、意向に反した連絡をしてしまうおそれがあります。
個人情報の取り扱いや広告・宣伝メールの送信には、法令上のルールがあります。具体的な対応は、所管官庁などの公式資料で確認してください。
見込み客へのアプローチと育成の進め方
見込み客リストに記録した関心度や検討状況は、アプローチの仕方を選ぶ手がかりになります。見込み客の状態に応じて、「情報提供」「状況確認」「個別提案」から対応を選びましょう。
見込み客へのアプローチには、継続的な情報提供ややり取りを通じて検討を支援する「育成(ナーチャリング)」も含まれます。どの段階でも、関心や課題を確かめながら、売り込みを急がずに課題解決を支えることが基本です。
情報収集段階には課題整理に役立つ情報を届ける
まだ情報収集の段階にある見込み客には、課題を整理するのに役立つ情報を提供します。代表的な手段がメールです。
- 初回の接点後:お礼とあわせて、会社紹介や関心のあるテーマの事例を送ります。
- 継続的な情報提供:関心に合う解説記事や事例、セミナーの案内などを送ります。
- 接点が途切れた見込み客への再アプローチ:しばらくやり取りがない場合は、新しい情報を送ったり、近況を尋ねたりします。
育成には、メールでの情報提供に加え、セミナーへの招待や営業担当者による個別の状況確認など、さまざまな方法があります。
関心が低い、または反応がない見込み客に同じ内容を送り続けると負担になりかねません。反応を見ながら配信の頻度や内容を見直し、配信停止の希望があれば速やかに対応しましょう。
具体的な相談には課題・条件を確認して対応する
問い合わせや見積もり依頼など、具体的な相談があった場合は、まず相手の状況を聞き取ります。確認したいのは、現状の課題、導入を検討している時期、予算の目安、社内での決裁の流れ、懸念点などです。
そのうえで、必要な資料の提供やデモ、個別の提案へとつなげます。関心が高まった段階を逃さず、相手の課題に沿った内容を示すことがポイントです。
一方で、検討時期が合わず、現時点では導入に至らない場合もあります。今後の提案余地がある相手には、検討時期の目安などを記録し、相手の意向を踏まえて改めて連絡します。自社の商品・サービスでは課題を解決できない場合は、無理に商談を進めないようにしましょう。
スコアリングで対応の優先順位を補助する
見込み客が増えるほど、誰から対応すべきかを判断しにくくなります。スコアリングは、見込み客の状態を点数で表し、対応の優先順位を考える材料にする手法です。主に、次の2つの観点で整理します。
- 自社との適合度:業種・企業規模・担当部門などが、自社で想定した条件に合っているか
- 行動・関心:資料請求やセミナー参加、問い合わせなど、どのような行動があったか
考え方を示すため、仮の設計例を挙げます。
| 観点 | 項目の例 | 点数(仮の設計例) |
| 適合度 | 対象業種に該当する | 10点 |
| 適合度 | 導入を検討する部門の担当者である | 10点 |
| 行動・関心 | 資料請求をした | 10点 |
| 行動・関心 | セミナーに参加した | 15点 |
| 行動・関心 | 見積もり・デモを依頼した | 30点 |
※上記は説明用の仮の設計例であり、一般的な標準値ではありません。配点は、自社の過去の商談結果などを踏まえて設定し、運用しながら見直します。
点数が高い見込み客でも、資料請求やセミナー参加を重ねているだけで、導入はまだ検討していない場合があります。逆に点数が低くても、具体的な相談が寄せられていれば優先して対応すべきです。点数は判断を補助する材料と位置付け、担当者が確認した状況と合わせて優先順位を考えましょう。
見込み客の管理方法|ExcelとCRMの使い分け

見込み客を獲得した後、重要なのは「どのように管理していくか」です。せっかく接点を持った見込み客も、適切にフォローできなければ、商談や成約にはつながりにくくなります。
リストを作成した後は、情報の更新、対応履歴の共有、次回対応の確認を続けていく必要があります。管理の方法には、Excelなどの表計算ソフトを使う方法と、CRM(顧客関係管理)ツールを使う方法があります。
CRMの基本的な考え方や機能については、「CRMとは?顧客関係管理の基本・メリット・支援サービスまで徹底解説」で詳しく解説しています。
Excelで管理する場合の運用を決める
Excelは手軽に始められ、項目も自由に設計できます。運用のルールをそろえておけば、見込み客の管理に十分活用できます。
Excelで管理する場合は、次の点を決めておきましょう。
- 項目と入力形式:日付や会社名の書き方をそろえ、検索や並べ替えをしやすくする
- 更新の担当者:誰がどの見込み客の情報を更新するかを決める
- 更新のタイミング:接触した当日中など、記録する期限を決める
- 共有先・保存場所:どのファイルが最新版かを明確にし、閲覧できる範囲を決める
CRMへの切り替えは、件数や利用人数だけで一律に決まるものではありません。判断材料になるのは、実際の業務で起きている支障です。たとえば、重複登録が頻繁に発生している、過去のやり取りを確認するのに時間がかかる、といった状況が挙げられます。複数人の編集でファイルの内容がずれる、担当者の不在時に状況がわからないといった問題も目安になるでしょう。こうした支障が続いている場合は、CRMの活用を検討しましょう。
CRMで情報と対応履歴を共有する
CRMツールを活用すると、見込み客の情報を一元管理できます。企業や担当者の基本情報、接触履歴、関心に加え、自社の誰が対応を担当しているかも確認できるため、営業活動に必要な情報を探しやすくなります。
こうした情報を社内で共有しておけば、担当者が変わってもそれまでの経緯を把握できます。次回対応の予定も確認しやすくなるため、対応の漏れや重複の防止にも役立ちます。
ただし、CRMを導入するだけで、フォローが自動的に行われるわけではありません。誰がいつ何を入力するかといった運用ルールを決め、情報を更新し続けることが前提です。
また、メールの自動配信やスコアリングなどの機能は、製品や設定、連携するツールによって対応範囲が異なります。導入を検討する際は、自社で必要な機能に対応しているかを事前に確認しましょう。
F-RevoCRMで見込み客情報を次の営業活動へ引き継ぐ
F-RevoCRMでは、見込み客の基本情報に加え、関心のある製品・サービスや検討ステージなどを登録し、社内で共有できます。
見込み客から顧客への昇格機能もあり、見込み客として登録したデータを、顧客企業・担当者・案件の情報へ引き継げます。顧客への昇格と案件登録を同時に行うことも可能です。こうしたデータの引き継ぎは、担当者間で経緯を共有する際にも役立ちます。
どの段階で見込み客を顧客へ昇格させるかは、こちらで解説しています:CRMで見込み客を顧客へ昇格させる判断基準
▶ 具体的な操作はこちら:F-RevoCRMの見込み客の昇格・案件登録の操作手順
F-RevoCRMの詳しい機能を確認したい方は、製品資料をご覧ください。
F-RevoCRMの資料を請求する
まとめ|見込み客を獲得し、記録し、継続して対応する
見込み客とは、将来購入・契約につながる可能性のある人や企業を指します。潜在顧客は、見込み客になる前の段階にある層です。
見込み客への対応は、次の流れで進めます。
- 自社の商品・サービスが役立つ企業や担当者を見極め、オンライン・オフラインで接点をつくる
- 関心や課題を確認し、次の対応に使える項目でリストに記録する
- 関心度や検討状況に応じて、情報提供・状況確認・個別提案を選ぶ
- 情報を更新し、対応履歴と次回対応を社内で共有する
すべての見込み客を、すぐに商談化できるわけではありません。今は検討時期でなくても、適切な時期に改めて連絡できる状態にしておくことが、継続的な営業活動の土台になります。
見込み客の情報共有や営業への引き継ぎにお悩みの方へ
「担当者ごとに情報が分散している」「対応履歴を確認しにくい」「営業への引き継ぎがうまくいかない」といった課題がありましたら、お気軽にご相談ください。現在の運用状況に合わせた管理方法をご提案します。

