「CRMを導入したけど、結局使われていない」
そんな話、意外とよく聞きます。システムを入れたのに現場がなかなか使ってくれない。結果として、高額なシステムが“宝の持ち腐れ”になってしまう。
この問題、実はCRMに限った話ではありません。
例えば、スーツを買うときのことを想像してみてください。どんなに高級なスーツでも、自分の体に合っていなければ着る気になりませんよね? CRMも同じです。どれだけ高機能でも、現場にフィットしていなければ、結局「着ない(=使わない)」という結末を迎えてしまうのです。
では、どうすればCRMを“着たくなるスーツ”にできるのか? 今回は、オープンソースCRMを活用するためのカスタマイズのポイントをお話しします。
現場に馴染まないCRMは、ただの“お荷物”に
せっかく導入したCRMが活用されない——これが、企業にとって最も避けたい事態です。
使われないCRMはコストの無駄
CRMは、現場で実際に使われなければ意味がありません。導入の目的は「管理すること」ではなく、「顧客との関係をスムーズにし、業務を効率化すること」です。しかし、実際にはこんなケースもよくあります。
- 「操作が難しい」と感じた現場のスタッフが、結局Excelに戻ってしまう
- データ入力が手間になり、CRMの更新が滞る
- 「結局、何が便利なのかわからない」と活用されなくなる
こうなると、CRMは「業務効率を上げるツール」ではなく、ただの“お荷物”になってしまいます。だからこそ、導入の際は「現場が自然と使いたくなる」仕組みを作ることが大切なのです。
現場が「着たい」と思うCRMを作るには?
CRMを成功させるためには、ただシステムを導入するだけでは足りません。現場が「これは使いやすい」「便利だ」と感じることが重要です。
そこで押さえたいのが、次の3つのポイント。
①言葉と使い勝手を現場の感覚に合わせる
たとえば、IT用語がズラッと並ぶ画面を想像してみてください。エンジニアならともかく、営業やサポートスタッフにとっては「なんだか難しそう…」と感じるはずです。
「案件管理」「コンバージョン率」「リードスコア」——こうした言葉が馴染みのない人にとっては、システムが遠い存在になってしまいます。
そうならないためにも、
- 用語を現場が普段使っているものに変える
- 直感的に操作できるUI(ユーザーインターフェース)にする
- 不要な機能を削ぎ落とし、シンプルにする
といった工夫が大切です。
②「使わないと損」な仕組みを作る
システムというのは、便利だとわかれば自然と使われるものです。逆に「手間が増える」と感じたら、どんなに導入を頑張っても使われません。
たとえば、営業日報を毎日手書きで書くのは面倒だけど、「ボタン一つで入力できる」となれば、積極的に使いたくなりますよね?
そこで
- 入力の手間を最小限にする(オート入力・テンプレート化)
- 必要な情報をすぐに引き出せるようにする
- 使えば使うほど業務がラクになる仕組みを作る
こうしたポイントを意識すると、CRMが現場の「負担」ではなく「助け」になります。
③これまでの業務フローを壊さない
「新しいCRMを導入したら、これまでの業務フローが変わってしまった」
これは意外とよくある失敗例です。新しいシステムが現場に馴染まず、結局“旧来の方法”に戻ってしまうパターンですね。
そんな事態を避けるために、
- 既存のレポートフォーマットをそのまま使えるようにする
- なるべく現在の業務フローを維持した形で導入する
- 小規模でテスト運用し、フィードバックを反映する
といった工夫をしておくと、スムーズに導入できます。
オープンソースCRMの「カスタマイズ力」を活かそう
ここまでお話しした「現場にフィットするCRMを作る」という点で、オープンソースCRMはとても相性がいいんです。
なぜかというと、オープンソースCRMは自由にカスタマイズができるから。
パッケージ型のCRMでは機能が固定されていることが多いですが、オープンソースなら必要なものを追加したり、不要なものを削ったりと、まさに“イージーオーダーのスーツ”のように調整できます。
さらに、
- 自社の業務に最適な仕様にできる
- 余計な機能を削ぎ落としてシンプルに運用できる
- ライセンス料が不要でコストを抑えられる
といったメリットもあります。
要するに、「現場にとっての着心地がいいCRM」を作れるのが、オープンソースCRMの強みなのです。
CRMをタンスの肥やしにしないために
オープンソースCRMを成功させるためには、次の3つのポイントを押さえることが重要です。
- システムの言葉と操作感を現場に寄せる
- 「使わないと損」な仕組みを作る
- 既存の業務フローを壊さない
そして、カスタマイズのしやすいオープンソースCRMを活用すれば、よりフィットしたシステムを作れるというのが今回のポイントでした。
せっかく導入するCRM、ただの「飾り」にするのではなく、しっかり着こなして業務を快適にするために、ぜひこの視点を取り入れてみてくださいね。
次回は、オープンソースCRMのさらなる活用法を、また違った角度からお話ししたいと思います。お楽しみに!