営業力強化のためのCRM/SFA導入企画を成功させるには?
企業の成長に不可欠な「営業力」。その強化を目的にCRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援システム)の導入を検討する企業が増えています。しかし、単にツールを導入するだけでは成果にはつながりません。
前回の記事では、CRM/SFA導入に向けた企画を立案する前に、経営層や現場の営業担当者にインタビューを行い、現状の課題を洗い出すことが重要であるとお伝えしました。今回は、そのインタビューで得た情報をどのように整理し、企画書に落とし込むべきかを解説していきます。
インタビューで得た営業課題の整理・分類方法
営業力を強化するためのCRM/SFA導入に向けて、まず重要なのは、現状の課題を明確にすることです。そのためには、経営層や現場の営業担当者に対するインタビューが有効ですが、得られる情報は多岐にわたり、整理が難しいこともあります。
インタビューでよく挙がる営業の課題
以下のような問題が、営業現場でよく指摘されます。
- 営業力がない
- 新規開拓ができない
- 既存顧客へのフォローが不十分
- 新規開拓に必要な顧客リストがない
- 営業スキルが不足している
- 属人的な営業スタイルから脱却できていない
- マネージャーがプレイヤー業務に忙しく、部下指導ができていない
これらの問題をそのまま企画書に記載しても、具体的な施策につなげるのは難しいため、整理・分類する必要があります。
KJ法を活用して課題をグルーピングする

一般的に、情報を整理する方法として 「KJ法」 がよく使われます。KJ法は、収集した情報をグループ化し、関連性を見出すことで問題の構造を明らかにする手法です。
例えば、以下のような営業課題がインタビューで浮かび上がったとします。
- 営業力がない
- 新規開拓ができない
- 既存顧客へのフォローが不十分
- 新規開拓に必要な顧客リストがない
- 営業スキルが不足している
- 属人的な営業スタイルから脱却できていない
- マネージャーがプレイヤー業務に忙しく、部下指導ができていない
これらの課題を単純にグルーピングすると、「営業力がない」という大きなカテゴリにすべてまとめられてしまいがちです。しかし、それでは課題の本質が見えてきません。
「問題の粒度」に注意する
問題を整理する際に重要なのが、「粒度」を意識することです。例えば、「新規開拓ができない」という問題の中にも、「開拓すべき顧客リストがない」「営業が新規顧客にアプローチするスキルが低い」といった細分化された問題が含まれています。
逆に、粒度を細かくしすぎると、問題が点在してしまい、整理が難しくなります。そのため、「新規開拓」「既存顧客フォロー」「営業組織の課題」 など、大枠のカテゴリを設定した上で、それぞれの問題を分類していくのが効果的です。
問題の「本質」を考える
問題を整理する際、単に表面的な事象を並べるのではなく、「その問題がなぜ発生しているのか?」を深掘りすることが重要です。
例えば、以下のような営業課題があったとします。
「事務処理に追われて新規開拓に時間を割けない」
→ これは単なる「言い訳」ではなく、業務フローの問題かもしれません。
「営業スキルが低く、顧客対応が十分にできない」
→ これは営業研修が不足していることが原因かもしれません。
こうした問題を整理すると、「現象」「原因」「手段」 という3つの視点で分類できます。
- 現象(表面的な問題):営業力が不足している、新規開拓が進まない
- 原因(問題の根本):営業研修が不足している、マネージャーが指導できていない
- 手段(解決策につながる要素):営業教育制度の導入、マネージャーの業務分担の見直し
このように整理することで、問題の本質を見極めやすくなります。
問題分析の落とし穴に注意!
問題を深掘りすることは重要ですが、際限なく掘り下げてしまうと、解決策が見えなくなってしまいます。例えば、「営業教育制度がない」という問題を分析していくと、
- なぜ営業教育制度がないのか?
- それは経営層が営業教育に投資する意識が低いから?
- なぜ投資しないのか? → 経営陣が営業現場を理解していない?
- なぜ営業現場を理解していないのか? → 日本の企業文化の問題?
このように、「なぜ」を繰り返しすぎると、最終的には経営哲学や文化の問題に行き着いてしまい、解決策が見えなくなってしまいます。そのため、問題を掘り下げる際には、「解決可能なレベルで止める」 ことが重要です。
企画書に活かすための問題整理のポイント
営業力強化のためにCRM/SFAを導入する際、問題を整理するプロセスは極めて重要です。インタビューで得た情報を適切に分類し、問題の本質を見極めることで、より実効性の高い施策を立案できます。
- インタビューで得た問題をリストアップする
- KJ法などを活用してグルーピングする
- 問題の粒度を揃え、整理しやすくする
- 原因と現象を分けて考える
- 具体的な解決策につながる形でまとめる
問題整理が終わったら、企画書の作成へ!
問題の整理ができたら、いよいよCRM/SFA導入の企画書作成に移ります。企画書の作成では、次のポイントを意識しましょう。
- 課題を明確にする:整理した問題を簡潔にまとめ、企業の課題として定義する
- 解決策を示す:CRM/SFAの導入が、どのように問題解決に役立つかを具体的に説明する
- 期待される効果を提示する:導入後にどのような成果が得られるのか、数値目標を設定する
問題整理が終われば、企画書作成はスムーズに進められます。ぜひ、今回の整理方法を実践してみてください!