CRM/SFA導入企画は「現状把握」が9割!成功のカギはここにある
「そろそろうちもCRMを導入したほうがいいんじゃないか?」
そんな一言が経営層から発せられた瞬間、企画担当者の苦悩が始まります。
トップは「やれ」と言う。現場は「余計な仕事を増やすな」と言う。
その間に立たされるミドル層は、「どうやって進めればいいのか?」と頭を抱えることになるのです。
「CRMを導入すれば営業力が強化できる」——それは本当でしょうか?
答えはNOです。
ツールの導入そのものが目的になってしまうと、ただの「宝の持ち腐れ」になってしまいます。大切なのは、「そもそも何が課題なのか?」を正しく把握すること。
では、具体的にどうすればよいのでしょうか?CRM/SFAの導入企画を成功に導く「現状把握」の進め方について、お話しします。
CRM導入は「トップの一言」から始まる?
多くの日本企業では、CRMやSFAの導入はトップの一言から始まります。
「営業のデータをもっと可視化しないと」
「うちの営業スタイル、そろそろ変えないとまずいよな」
こういった声が経営層から上がり、企画がスタートするケースは非常に多いです。
しかし、ここで注意したいのが、トップは「導入せよ」と指示はするものの、「具体的にどうすべきか」までは決めていないという点です。
「CRMを導入すれば、営業がもっと効率化する!」という期待を抱いているものの、現場がどんな課題を抱えているのか、細かい部分までは把握していないことがほとんどです。
その結果、現場に話を振ってみると……
「え?CRM?また余計なシステム増えるの?」
「うちのやり方に合わなかったら意味ないじゃん」
と、ネガティブな反応が返ってくることも珍しくありません。
こうなると、企画担当者は経営層と現場の板挟みに……。
では、この状況をどう打破すればいいのでしょうか?
答えはシンプル、
「まずは、現場の実態を正しく把握すること」です。
「現状把握」なくして企画成功なし!進め方の2ステップ
ステップ①トップインタビューで「経営層の意図」をつかむ
最初にやるべきことは、経営層が本当に解決したい課題を知ることです。ここでよくあるのが、「営業をもっと効率化したい」「データを可視化したい」という抽象的な指示。
しかし、これだけでは具体的に何をどうすべきか分かりません。
そこで、企画担当者としては、トップにこんな質問を投げかけてみるのが有効です。
「営業活動のどこに課題を感じていますか?」
「理想の営業組織とは、どんな姿ですか?」
「CRM導入によって、どんな変化を期待していますか?」
すると、「実は営業データがうまく管理されていなくて……」とか、「新人が育ちにくい仕組みになっていて……」など、具体的な課題が見えてきます。
この段階で、経営層の期待値を明確にすることが大切です。
ステップ②現場インタビューで「リアルな課題」を拾う
次に、現場の営業担当者やマネージャーにヒアリングを行います。ここでのポイントは、「システム導入ありきの話」をしないことです。
「現場でどんな問題があるのか?」
これにフォーカスして聞いていきます。例えば、こんな質問を投げかけてみるとよいでしょう。
「営業活動で一番困っていることは?」
「もっとこうなったら働きやすいのに、と思うことは?」
「上司から求められていることと、実際の仕事のズレはありますか?」
ここで大切なのは、現場の意見を「そのまま」受け取ることです。
「いやいや、うちの営業は問題ないですよ」と言われたとしても、深掘りしていくと、実は「日報の入力が面倒」「上司が求めるレポートが多すぎる」など、現場特有の課題が浮かび上がってくることがよくあります。
この「現場のリアルな声」をしっかり拾っておくことで、「導入するシステムが本当に解決すべき課題」が明確になるのです。
企画成功のカギは「経営層と現場の橋渡し」
ここまで進めると、経営層と現場の意見のギャップが見えてきます。
例えば、
経営層:「もっとデータを活用して戦略を立てたい」
現場:「レポート作成が多すぎて、営業に集中できない」
こうした状況では、「営業担当者の負担を減らしながら、必要なデータを可視化できる仕組み」を考えることが求められます。
企画担当者としては、この両者の意見を踏まえて、「どんなシステムを入れるべきか?」を客観的な視点で整理することが大切です。
「まず現状を知る」ことがすべて!
CRM/SFAの導入企画を成功させるために、最初にやるべきことは、現状を正しく把握することです。
- 経営層の意図を明確にする(トップインタビュー)
- 現場の課題を深掘りする(現場インタビュー)
- 経営層と現場のギャップを埋める(企画の整理)
ツールありきで考えるのではなく、「何のために導入するのか?」を明確にすること。
これが、CRM/SFA導入を成功させるための第一歩なのです。
次回は、現場の課題をどのように整理し、具体的な企画に落とし込むのか?についてお話しします!