CRM/SFAにおける企画のまとめ方②


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前回はダメな企画書に関して書きましたが、今回からは企画のあるべき姿を書いていきたいと思います。
ちなみに、日本企業の場合CRM/SFAに限らずトップダウンで物事が決まるケースは殆ど無い様に思います。

導入のきっかけはトップだとしても、検討のボールは下に渡されます。「そろそろうちもCRMとか検討してみてはどうか・・・」
といった一言です。殆どのトップは具体的に「CRMを導入して〇〇××をしなさい」とは言いません。
きっかけはトップだろうと、現場からの要望だろうと、検討するはミドル層です。部署は私の経験上からだと、経営企画、営業企画の部課長クラスの場合が殆どだったと思います。
何故こんな事を最初に書くかというと、基本的に日本企業の場合、企画をまとめるうえで、経営陣はもとより現場を含めて関係者全員からの(ある程度の)総意が得られないと新しい事に取組めないという事を前提にする必要があるからです。企画の取りまとめを任された人間からすると迷惑な話しです。何せ現場の協力・理解不足で失敗したとしても自分の責任になる訳ですから・・トップ層と現場の板挟みに合って・・・

しかし、この点(全員からの合意獲得)をツールベンダーに求める事は、やはりかなり筋違いな話しです。ツールベンダーに対して「現場が入力しなかったらどうするんだ!」的な脅しをする人をたまに見かけますが、以前も書いたとおりツールベンダーの役割はより良いツールを開発して提供する事ですから・・・
とは言え企画の担当者が「現場の皆様、お忙しいとは存じますが何卒ご協力お願いします」的に下手に出ると、これも失敗の呼び水となります。この点はとても重要です。現場に配慮しすぎて企画がまとまらないケースが実に多いのです。例え、自分が営業企画の課長で、相手は役職では下の営業の平担当者だとしても、ラインの上に居る営業本部長に怒鳴りこまれる可能性は充分にある訳ですから、気を使いたくなるのは解りますが・・・(良くも悪くも日本企業は現場が強いので)

さて、前置きが長くなりましたが、企画をまとめるにあたってまず最初にやるべき事は「現状を正しく把握する」事です。

「現状を正しく把握する」とはいうのは簡単な様で以外に難しいです。もちろん同僚と飲み屋に行けば「うちの会社はもっとこうあるべきだ!!」と大いに話しをする事はできると思いますが、いざ企画において自社の実態を正しく表現しようとすると・・・さて、例えば・・・今回の連載では「営業力強化の為の・・・」をお題にしてますので、営業の「今の実態」を正しく表現せねばなりません。先ほどの飲み屋での会話の様な自分自身の想いや主観をベースにしてしまうと・・・営業本部長に怒鳴りこまれる可能性が高くなってしまいます!!

「お前は営業の現場の事が解っていない!!!」

こうなると、企画そのものが潰されてしまいます。たとえ社長が言いだしっぺだとしても、営業本部長が反対する様なものを社長が押し切ってでも投資する事はありません。

では、「今の実態」を正しく表現する為にはどうしたら良いでしょうか?
もちろん今の状態、例えば営業のやり方や、営業マネジメントのやり方を、そのまま表現しても意味がありません。
着目すべきは、今営業が抱えている「問題」です。これが正しく把握できれば、企画における「今の実態」を表現する事ができます。

さて、次に実際に「問題」を把握する為には何が必要でしょうか?
「問題」というのはコンサルタントがよく言う様に「現状」と「あるべき姿」のギャップなのですが・・・ここで疑問が湧く筈です。「はて?うちの営業の「あるべき姿」ってなんだ?3年後の売上/利益目標なら「中期経営計画」できまっているけど・・・」
ここで立ちすくんでしまう方も結構多いです。中には「うちの会社はダメな会社だから「あるべき姿」なんてない!」と豪語される方も居ましたが、私からみれば全く特殊なケースではなく、むしろ殆どの会社がその状態なのでご安心下さい。
先ほどの「飲み屋」で「愚痴」をいったり「あるべき論」に興じるのは、みなそれぞれに「本来自分が考える「あるべき姿」」とくらべ「現状がそうなっていない」から、そういう話が出る訳であって立場は違えど、大体の人は実は心の中に「本来あるべき姿」を描いているのです。(社長であろうと、営業部長だろうと、担当だろうと・・・です)なので、ある意味第三者的な視点に立ち、皆の意見を上手くまとめて集約できれば「会社としてのあるべき姿」は表現できます。しかし、いきなりその作業に手を付けるのはこれもまた「悪手」です。総花的でメッセージ性の低いものになってしまう可能性が高いのが一番の理由です。

ならばどうすべきか?最初に取り掛かる作業としては、「あるべき姿」は一旦置いておいて、やはり「問題」の整理からやるべきです。問題として口にする事は実は、先ほども書いた通り、その人が考えている「あるべき姿」を聞き出している事になるからです。これがいきなり「あるべき姿」をまとめよう!と、すると「何それ?」になってしまいます。インタービューを受ける側になったとしても「あるべき姿を教えて下さい」と聞かれるより「今の問題を教えて下さい。」と聞かれる方がはるかに答えやすい筈です。

さて、私の様な第三者が現状分析を行う場合は、まずトップインタビューから行っていきます。経営陣が「何を問題だと考えているのか?」「どうしていきたいのか?」を知る為です。
いきなり現場からインタビューしてしまうと、「現状=忙しいのに給料安い」「あるべき姿=もっと楽して給料欲しい」という人もなかにはいますから、問題は「上司が悪い」「人事が悪い」「社長が悪い」「同僚が悪い」「他部門が悪い」としか考えていない人も居ます。もちろん私自身はグループインタビューなんかを含めると、今までに1000人近くはインタビューをしてきていますので、単なる愚痴や問題といえない問題は直ぐに見破れます。しかし社内の企画の方がまとめる場合、逆に低レベルな意見に振り回されてしまう可能性があります。
社員の方が社長や役員に時間を取ってもらってインタビューをするのは結構怖い事だと(こんな事で時間を取ってもらったら叱られるのではないか?)は思うのですが、まずトップの考えをしっかりと把握しないとこの企画をまとめる仕事はできない。という事をしっかりと主張して実行すべきです。最初の仕事を誤魔化してしまうと、後でとんでもないしっぺ返しを食らいます。
今回はCRM/SFA導入の話しですから、会社に何百万円~何億円もお金を払わせたうえ、全く成果に繋がらない。なんて仕事をしても平気な顔できる人なら別ですが・・・

(ちなみに、営業力強化にあたってのCRM/SFA導入に関してまず社長のお考えをお聞かせ下さい。という話を持っていった場合、大体の社長は喜びます。もちろん聞き方のテクニックはありますが、インタビュー時間をはるかに超えてしゃべり続ける方も多いです。)

さて。少し話が逸れますが、トップインタビューした結果、社長と営業本部長で言っいる事が全然違う・・・若しくは相当仲が悪い?なんて場合はどうしましょう・・・実際CRM/SFA導入の言いだしっぺは社長だけど、営業本部長は大反対とかいうケースはそれほど珍しくありません。「社長が本部長説得してよ~」とは言えないのがサラリーマンの宿命です。

答えは・・・ピュア(純粋)になる事です。

冗談で言っているのではありません。さすがに社長と営業本部長が私怨で対立しているなら転職を考えた方が良いでしょうが、「会社を良くしたい」という想いの中で、まずこうすべきだ。という手段の違いで意見が異なるのであれば、企画をまとめる人間がそれらの意見を踏まえた上で、客観的、合理的に会社を良くするロジックを構築してしまえば、誰も反対はしない筈ですし、両人とも、俺の意を汲んでくれた。と納得してくれる筈です。
もちろん「私は営業本部長の意見に従う」という選択肢もあるとは思いますが、そうした場合、結局は何も物事が進展しない状態を放置する事になり、結果会社の発展を遅らせるだけ。だという事も認識すべきでしょう。

さて、話しを元に戻します。
トップインタビューが終わったら、次は現場のインタビューです。間違ってもトップ層がやりたい事だけを実現しようとは思わない事です。昔のCRMは殆どそれで失敗したといっても過言ではありません。本来CRM/SFAの様なツールは現場のツールであるべきです。昔は経営陣にとって重要なこんなレポートやあんなレポートが出ます。とかで導入を決めて現場にそっぽ向かれるのが典型的な失敗パターンでした。

現場になんか聞かなくても会社の事は全部解っている。という方でもこのステップは絶対に必要です。何故なら「現場の問題を聞く」事で、現場の人は「自分達の問題を解決してくれる為にCRM/SFAを検討しているんだな」という想いが生まれますから、当然その後も協力していこうという気持ちが生まれます。
ちなみに、最初に現場に気を使い過ぎてしたてにでるのはダメと書きましたが、現場の問題を吸い上げる事で企画側の立ち位置がかなり変わります。例えば「上から言われてCRMとかいうの導入するから協力して下さい」という立場と「今現場が抱えている問題を解決する」という立場では全く立ち位置が違う事は解ると思います。こういった企画する側のポジショニングはプロジェクトを進行していく際とても重要です。
また実際に現場の問題を聞いて回るとそこには必ず気づきがあります。それから、この時点ではCRM/SFAに限定して問題を聞く必要もありません。「営業として何が問題か?」と素直に聞いて下さい。もちろん聞いた問題の中には今回の企画の対象外(スコープ外)となるものも多いと思いますが、網羅的に問題を把握しておかないと、企画そのものが「外したもの」になってしまう可能性が高くなります。(企画を見た時に「現場にとって大した問題ではない事が取り入れられ、重大な問題が全く考慮されていない。」という事にならない様に)
一通り現場の問題を聞けたら、次にまとめて分析に入りますが具体的にどうすべきかは次回に回します。

今回はちょっと色々と寄り道をしてしまいましたが、まとめると以下の通りです。

企画段階の最初にすべき事=現状分析
(手段)
1.トップインタビューで、経営層の問題意識、やりたい事を把握
2.現場インタビューで、今現場で起きている問題の把握

(ポイント)
・問題の把握≒あるべき姿の把握
・現場インタビューをする事で、現場の協力姿勢を得る
・今現場で起きている問題の把握においては網羅性が重要

(何故)
・企画段階で経営陣や現場をある程度巻き込み、総意を取っておく事が重要だから。

 

”CRM/SFA導入企画段階では、まず客観的な現状把握が必要。今、会社で起きている事も把握せず、ツール導入しても成功はしない”