CRM/SFAの導入を検討する際、ツールの選定にばかり目が向きがちですが、実は成功の鍵を握るのは「企画段階」にあります。導入の目的や具体的な運用方針が整理されていなければ、どれだけ優れたツールを導入しても期待する成果を得るのは難しいでしょう。

しかし、多くの企業で「伝わらない企画書」が作成されることで、導入プロジェクトが失敗に終わるケースが少なくありません。ツールのメリットばかりを並べたものや、抽象的な言葉ばかりで具体性に欠けるもの、範囲や期間が曖昧なものなど、よくある失敗例には共通の特徴があります。

間違った企画書の特徴とは?

CRM/SFAの導入企画書を作成する際、注意すべき点はいくつかあります。まずは、よく見られる「伝わらない企画書」の特徴を確認しましょう。

ツールのメリットばかりを並べている

ツール導入の利点ばかりを強調した企画書は、現実的な視点が欠けているため、説得力に欠けます。

「このシステムを導入すれば、営業の効率が上がり、売上が伸びます!」――そんなベンダーの営業トークをそのまま企画書に落とし込んでいませんか? よく見かけるのが「経営者のメリット」「現場のメリット」などと分けて、システム導入の利点を並べるだけの企画書です。

例えば、

  • 「営業の訪問件数がリアルタイムで把握できます」
  • 「案件のパイプラインを分析できます」

といった記述は一見魅力的ですが、それだけでは「なぜこのツールが必要なのか」「どのような課題を解決できるのか」が伝わりません。企画書は製品パンフレットではなく、「導入の目的」と「期待される効果」を明確にすることが重要です。

抽象的な表現が多すぎる

「営業力の強化」「顧客満足度の向上」「業務の効率化」――これらの言葉はよく使われますが、具体的に何をどう改善するのかが不明確です。

例えば、サッカーチームの監督が「攻撃力を強化しろ!」とだけ指示しても、選手はどう動けばいいのか分かりません。

  • ショートパスをつないで攻めるのか?
  • ロングシュートを狙うのか?
  • サイド攻撃を中心に展開するのか?

ビジネスでも同じで、「業務の効率化」と言われても、

  • どの業務のどのプロセスを改善するのか?
  • どの指標で効果を測るのか?

まで明確にしなければ、実行段階で混乱を招くことになります。

企画書でも同様に、「どの業務プロセスをどう改善するのか」「どのデータを活用し、どの指標をどのように向上させるのか」を明確に記載することが求められます。

用語の統一がされていない

企画書の中で言葉の使い方がバラバラになっていると、読み手にとって非常に分かりにくいものになります。

例えば、タイトルでは「営業力強化のための改革」と書かれているのに、本文では「改善」「変革」など異なる言葉が使われているケースがあります。

また、

  • 「業務プロセスを見直す」
  • 「業務フローを変える」
  • 「仕事のやり方を変える」

など、似たような言葉が統一されていないと、「結局、何をしたいのか?」と疑問を持たれる原因になります。言葉の意味や使い方を統一し、読み手が迷わないようにしましょう。

対象範囲や期間が曖昧

「営業力を強化する」といっても、その取り組みが影響を及ぼす範囲を明確にしなければ、関係部門との調整がうまくいかず、頓挫してしまうことがあります。

例えば、「新規開拓を強化する」という施策を考えたとします。

  • 新規顧客を獲得した営業担当者に対し、インセンティブを高く設定する → 人事部との連携が必要
  • 既存顧客対応に時間を取られて新規営業ができない → カスタマーサポート部門との調整が必要

ロジックが整理されていない

企画書の構成がバラバラだと、何を伝えたいのか分からなくなります。

例えば、次のような構成になっていたらどうでしょう?

  1. CRM/SFAツールの紹介
  2. 顧客DBの構築の重要性
  3. 現状の顧客管理のやり方
  4. 営業のプロセスについて
  5. 期待効果

これでは、「何をどう変えて、何を目指すのか?」が見えません。企画書は、「課題 → 解決策 → 効果」の流れを意識し、論理的に構成することが重要です。

目的が整理されていない

目的と手段、結果が混同されている企画書も失敗しやすい例です。

例えば、

  • 「CRM/SFAツールの導入」 → これは「作業」であって、目的ではない
  • 「顧客DBの構築」 → これは「目的」に適している
  • 「モバイル活用」 → これは「手段」
  • 「部門間の連携強化」 → これは「結果」

「営業力強化」という目的に沿った内容になっているかを確認し、適切に整理しましょう。

情報を詰め込みすぎている

細かい情報を詰め込みすぎると、重要なポイントが埋もれてしまいます。

例えば、製造業では企画書をA3用紙1枚にまとめる文化があります。これは、伝えたい内容を端的に整理する訓練にもなります。企画書は「作ること」が目的ではなく、「伝えること」が目的。冗長にならないよう、シンプルにまとめる意識を持ちましょう。

伝わる企画書を作るために

「伝わらない企画書」に共通する7つの問題点を紹介しました。

  • メリットばかりを強調しない
  • 具体的な表現を使う
  • 用語を統一する
  • 対象範囲と期間を明確にする
  • 論理的な構成にする
  • 目的・手段・結果を整理する
  • 情報を詰め込みすぎない

CRM/SFAの導入を成功させるには、単にツールを選ぶのではなく、明確な目的を持ち、戦略的に企画を立てることが不可欠です。企画書は「作ること」が目的ではなく、「伝えること」が目的であることを忘れずに、分かりやすく説得力のある内容にまとめましょう。