さて、ここからは実際にCRM/SFAの導入を検討している企業が具体的に何をしていかなければならないか?を書いていきたいと思います。

CRM/SFAの導入を検討するきっかけというのは様々でしょう。「営業力強化」「マーケティング活動の効率化」「顧客満足度の向上」・・・中には「今使っているシステムが保守切れになる為」というのもきっかけとしてはあるでしょう。

今回はケースを絞る為「営業力強化の為、CRM/SFAの導入を検討」とします。この記事を読んで頂いている貴方が検討を進める担当となったとして、まず何を行いますか?

・とりあえず、Webで検索して目にとまったツールベンダーに資料請求

その後・・・

・ツールベンダー数社からデモプレゼンを受けて比較検討
・一番良かったツール(機能、価格、プレゼン内容)を選択して「発注」
・ツールベンダーに主導してもらいながら、導入の打合せ開始~

統計を取った訳ではないので確定する訳にはいかないですが、私はこの業界に20年以上関わっていますので、その経験をもとにするならば、
この様な流れでツール選定、導入を行った企業は99%失敗します!!

何故でしょうか?

前回も指摘した通り、ツールベンダー側はCRM/SFAを導入すれば、さも営業力が強化される様な誤謬を与えてプロモーションしますが、各種ダイエット機器しかりで、CRM/SFAは道具に過ぎません。
しかも、ダイエットであれば「いつまでに〇キロ痩せるぞ!」と本人が意思を固めて、その後自分に合いそうな機器を選び実践すれば成果はでますが、今回の様に企業が「営業力強化」を目的とした場合そんなに単純ではありません。導入担当者がいくら「いつまでに営業力強化するぞ!」と意思を固めても、実際に営業する人が変わらなければ成果はでません。
しかも「営業力強化」では具体的に何をどうするのかさっぱり解りません。営業担当者はCRM/SFA導入などなくても日々成果を上げようと頑張っている訳ですし・・・




では、CRM/SFAの導入検討でまず最初にすべき事は何か?
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それはズバリ!「企画をまとめる」です!!アウトプットは「企画書」です。




なんだそんな事か?と思われるかもしれませんが、実際にちゃんと企画をまとめてから導入する企業はとても少ないのが現状です。また企画書はある(作った)としながら実際にはツールベンダーの提案書そのままコピーしたものになっていたりする企業もあります。

また単に企画書を作れば良いというものでは無く、内容もとても重要で、それ次第で導入の成否が決まると言っても過言ではありません。ここを手抜きすると、その後で幾ら「お金」を掛けようと失敗します。

なぜ、最初の企画が重要か?

それは企画をまとめる事で会社としての取組を宣言する事になるからです。即ち曖昧な「営業力強化」というお題に対して具体的に「何をどの様にして何時までに」行っていくかを明確にして、経営陣や対象現場に宣言をする事によりはじめて他人毎ではなく、自分が何をしなくてはならないか?が理解されるのです。具体的に何をするのか解らないのに、道具だけ揃えても上手くいく筈がありませんし、先ほど書いた通り、ダイエットなら自分ひとりが意思を固めれば良い話しですが、会社は組織なので関係者が「やる事」に納得して初めて物事がまともに動きだすのです。

さて、この企画段階でのCRM/SFAのツールベンダーとの関わり方ですが、殆ど必要ありません。
この企画段階はツールベンダーから見れば「営業段階」なので、自社のツールを選定してもらおうと必死に働き掛けてきますが、基本的にツールベンダーの営業は、貴方の会社になるべく手間を掛けず早く発注をもらいたい訳ですから、じっくりと腰を据えて「企画」をまとめられては困るのです。
なのでツールベンダーの営業は、悩んでいるユーザ企業には「スモールスタートであればそれ程お金も掛りませんし、一旦試してみませんか?」と常套文句で迫ってきます。
「企画をまとめる」という仕事は楽な仕事ではありませんから「その位の金額なら稟議通りそうだし・・・、○○営業部はツールを使いたいと言ってきている訳だし・・・」とその手の話しに引っかかると後で必ず痛い目にあいます。
だって具体的に営業力を強化する為に何をすべきか?まとまっていないのですから、成功する筈ありません。押入れにしまわれて二度と使われないダイエット機器状態となる事は自明です。

この様な誘惑に負けない為にも、ある適度企画がまとまるまではツールベンダーとは関わらない方が懸命です。

また、大企業だとこの「企画をまとめる仕事」をコンサル会社にまる投げしている所も多いですが、これも反対です。
確かに高いお金を掛けただけあって、コンサル会社が作った企画書は綺麗だし、ボリュームもあるし、ロジックもしかりしているものが多いですが、それは所詮「コンサル会社が作った資料」であって、自分達が考えて出した答えではありませんから、何をしなければならないのか?の答えとして受け止められなくなってしまいます。
この段階でコンサルを使う事自体には全く反対はしませんが、それはあくまで自分達が主体的に作っていくにあたって自分達に足りないスキルや労力を補ってもらう為に利用すべきであって、「まる投げ」してしまっては企画をまとめる意味自体がなくなってしまいます。

さて、CRM/SFAを導入するにあたって、ツール選定の前に「企画をまとめる」事の重要性は理解頂けましたでしょうか?少し長くなりましたので、今回はここまでにして次回から具体的に「企画をまとめる」為にやるべき事や企画書を作るノウハウを掲載していきたいと思います。

"CRM/SFAの導入を検討しているのであれば、いきなりツール選定から入ってはいけない。
まずは自分達の手でしっかりと企画をまとめよ”