「CRMを導入したら、どんな効果があるの?」こんな疑問を抱えているあなた、実はこんな現実に直面したことはありませんか?
たとえば、ある中小企業の営業担当者Aさん。毎日忙しく顧客対応に追われ、気づけばCRMシステムの入力作業が後回しに。結局、使われないままシステムはほったらかし、業務は手作業で進んでいく――でも、実際に業務は回っているのです。
ここで、Aさんが気づかなければならないのは、CRMが「なくても業務は回る」という現実。売上や顧客対応はCRMがなくても十分こなせるかもしれません。でも、それでもなぜ「CRMを導入すべきか?」という問いが浮かび上がるのでしょうか。
CRMの真の価値は、目に見える結果を生むことではなく、顧客情報という「データ」を蓄積し、それを活用することにあります。この「蓄積された情報」が、未来の営業戦略をより良いものに変える力を持っているのです。しかし、そのデータを入力する手間をどうしても面倒に感じてしまうのが現場の本音。
では、どうすれば「使われないCRM」を避け、現場で活用される仕組みを作れるのでしょうか?それは、単なる「導入」で終わらせず、「現場が使い続ける仕組み」を作ることが重要だと気づくことから始まります。
CRM導入前に押さえておくべき前提
CRM(顧客関係管理)システムを導入する際に、まず認識しておくべき重要な前提があります。それは、「CRMがなくても業務は回る」ということです。
販売管理などの基幹システムの場合、売上や請求の処理が業務の一環となっているため、多少使いにくくてもシステムを利用せざるを得ません。しかし、CRMはどうでしょうか?
CRMへの情報入力が「売上を稼ぐ」「顧客満足度を直接向上させる」とは限りません。そのため、システムを導入したからといって、現場の担当者が積極的にデータを入力してくれるとは限らないのです。
CRMの価値は「蓄積」にある
CRMの大きな強みは、営業活動や顧客とのやり取りを記録し、情報資産として蓄積できることにあります。これを活用することで、顧客ごとの最適なアプローチを検討したり、営業戦略を改善したりすることが可能になります。
しかし、現場の担当者にとっては「入力しなくても業務はできる」というのが現実です。したがって、CRMを導入するだけでは、必ずしも現場で活用されるとは限りません。
「使われないCRM」にしないために
CRM導入の最大のリスクは、「誰も使わないシステムになってしまうこと」です。そのためには、次のようなポイントを押さえて構築することが重要です。
- 入力の手間を減らす工夫(自動入力や連携機能の活用)
- 現場にとってのメリットを明確化(入力することで営業成績が上がる、効率が良くなるなど)
- マネジメント層の積極的な活用(上層部がCRMのデータを重視することで、入力が促される)
CRMは単なる「導入」ではなく、「現場が使い続ける仕組み」を作ることが成功のカギとなります。この視点を持った上で、CRMの構築を進めていくことが不可欠です。