営業改革、システム頼みになっていませんか?

「営業成績を上げるために、CRM/SFAを導入しよう!」

そう考えたことがある企業は多いのではないでしょうか? 確かに、CRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援システム)は、営業活動をサポートする強力なツールです。でも、導入すればすぐに成果が出るかと言えば……そんな甘い話ではありません。

実際、「システム導入=営業力強化」と短絡的に考えた企業ほど、「思ったほど効果が出なかった」「結局、使いこなせていない」という壁にぶつかりがち。なぜなら、システムはあくまで手段であり、それ以前に「営業の課題は何なのか?」をしっかり整理しておかなければ、どんなツールを導入しても本質的な解決にはならないからです。

では、CRM/SFAを本当に活用するためには、何を考えればいいのでしょうか? そのヒントは、営業の「業務整理」にあります。

営業の仕事って、実はこんなに細かく分かれている

営業と一口に言っても、その業務は多岐にわたります。まずは、ざっくりと以下の4つに分類してみましょう。

  • 営業そのもの(A-1)
  • 営業を支える仕事(A-2)
  • 営業を管理する仕事(B-1)
  • 研修や事務作業(B-2・B-3)

営業そのもの(A-1)

これは言うまでもなく、顧客と直接向き合う業務。商談、プレゼン、クロージング……営業の「花形」とも言える部分ですね。でも、実は営業職がこの業務に費やせる時間って、全体の3割程度しかないんです。

営業を支える仕事(A-2)

提案書の作成、見積もり作成、顧客データの整理……いわゆる「営業準備」です。この部分をいかに効率化するかが、営業生産性を高めるカギになります。

営業を管理する仕事(B-1)

営業日報、案件管理、上司への報告など、いわゆる「マネジメント業務」。やらないと営業の動きが見えなくなりますが、負担が大きくなると本来の営業活動を圧迫してしまいます。

研修や事務作業(B-2・B-3)

営業研修、ロールプレイング、交通費申請、勤怠管理など、直接売上には関係ないけれど必要な業務。特に事務作業は、企業規模が大きくなるほど膨れ上がる傾向にあります。

こうして整理してみると、「営業の仕事」と言いながら、実際に顧客と向き合っている時間は意外と少ないことがわかりますよね。

CRM/SFAが役に立つのはどこ?

では、CRM/SFAはこれらの業務にどのようなインパクトを与えるのでしょうか?

結論からいうと、システムで直接影響を与えられるのは 「営業支援業務(A-2)」と「マネジメント付随業務(B-1)」 です。これらの業務を効率化し、営業担当者がより多くの時間を「営業直接業務(A-1)」に使えるようにすることが、CRM/SFA導入の大きな目的になります。

A-2(営業支援業務)

「営業の準備」にかかる時間を短縮できるのが、CRM/SFAの強み。顧客データを自動で管理したり、過去の提案資料をすぐに引き出せたりすることで、営業担当者が「本業」に集中できる環境を作れます。

B-1(営業マネジメント業務)

「営業の準備」にかかる時間を短縮できるのが、CRM/SFAの強み。顧客データを自動で管理したり、過去の提案資料をすぐに引き出せたりすることで、営業担当者が「本業」に集中できる環境を作れます。

逆に、「B-3(事務作業)」はCRM/SFAの範疇外になることが多いので、別途ワークフローシステムなどと組み合わせる必要があります。

「システムを入れること」が目的になっていませんか?

ここで注意したいのが、「CRM/SFAを導入すること自体が目的になってしまう」パターンです。

よくある失敗例として、

「とりあえずシステムを入れれば何とかなるだろう」

「ベンダーに言われるがまま、機能を詰め込んでしまう」

「営業メンバーにツールの活用方法を十分に教育しない」

結果、「高機能だけど誰も使いこなせないCRM」が完成し、結局はExcel管理に逆戻り……なんて話も珍しくありません。

CRM/SFA導入の前にやるべきことは、「営業の課題を整理し、システムで解決できる部分を見極めること」 です。

CRM/SFA導入の成功は「準備」で決まる

営業の生産性を上げるには、次の3つが重要です。

  • 営業業務を整理し、課題を明確にする
  • CRM/SFAがどの業務に役立つのかを把握する
  • 「システム導入=ゴール」ではなく、定着を見据えて活用を考える

CRM/SFAは「魔法のツール」ではなく、「使い方次第で効果を発揮するツール」です。導入前にしっかりと営業業務を整理し、「本当に必要な機能は何か?」を見極めることが、成功への第一歩です。

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