Interview-兼八産業株式会社

厨房機器の設計・施工から、長期にわたるメンテナンスまでを手掛ける兼八産業株式会社。
同社はかつて、長期案件の進捗や顧客ごとの対応履歴が担当者個人に依存し、次のアクションが曖昧になりやすいという課題を抱えていました。
若手社員の増加に加え、事業の軸足を「売り切り型」から「保守・メンテナンス重視」へ移していく中で、営業部門と保守サービス部門が顧客情報を共有し、継続的に活用できる基盤が必要になりました。
そこで選ばれたのが、自社独自の営業プロセスを柔軟に反応できる「F-RevoCRM」です。
本記事では、兼八産業株式会社 代表取締役社長・原様へのインタビューをもとに、F-RevoCRM導入の背景や活用方法、営業と保守が部門を超えて連携できる情報基盤づくり、さらに蓄積した顧客接点データを営業活動や顧客提案につなげていく今後の展望について伺いました。
ベテラン依存の体制から脱却
厨房機器の導入からその後のメンテナンスまで、顧客と長期にわたる関係を築くビジネスを展開する兼八産業。
同社では長年、営業活動や顧客対応に関する情報がベテラン社員個人の経験やノウハウに依存し、組織全体で共有・継承する仕組みが十分に整っていませんでした。
原社長は当時を「隣の人が何をやっているかも分からない状態だった」と振り返ります。

当時はまさに『ベテランの個人事業主の集まり』みたいな状態でした
この体制に変化が訪れたのは、会社が新たな成長フェーズへと舵をきるべく、2009年に新卒採用を再開したタイミングでした。
当時は情報共有のカルチャーがなかったため、新入社員が必要なタイミングで周囲の支援を受けにくく、育成にも支障が生じるようになりました。個人の頭の中にある情報だけでは、若手の成長を支えることも、組織として協力しながら顧客対応を進めることも難しくなっていきました。
また、同社は事業の軸足を「切り売り型の営業」から「保守・メンテナンス重視」へと大きく転換しました。営業だけでなく、保守サービス担当も継続的に顧客と接点を持つようになったことで、一人の担当者だけが顧客情報を抱える体制では対応しきれなくなりました。
部門をまたいで顧客情報や対応履歴を共有できる環境が求められるようになり、複数人で継続的に顧客を支える体制づくりが不可欠になりました。


それをやらないと会社がうまく回らないという状況だったので
こうした危機感から、同社は属人化の解消そのものを目的とするのではなく、営業とサービスが顧客情報を共有し、部門を超えて連携できる基盤づくりへと踏み出しました。
若手育成や事業転換に伴う一連の課題意識が、のちのF-RevoCRM導入へとつながっていきます。
長期案件のネクストアクションが曖昧に
兼八産業では当初、案件情報をExcelで管理していました。
しかし、同社のように顧客との関係が長期にわたるビジネスでは、Excelによる運用だけでは対応しきれない課題がありました。
兼八産業の案件は、顧客との初回接触から設備工事、納品、入金までに長い期間を要します。そのため、それぞれの案件を長期間追い続けながら、「次にいつ、誰が、何をするのか」を明確にして進めていく必要があります。
課題となっていたのが、案件ごとのネクストアクションの管理です。
Excel中心の運用では次のアクションの定義がなかなかできないため、「顧客からの回答待ち」のまま案件が停滞するケースもありました。
こうした停滞は、経験のある社員であれば自ら判断して防げるかもしれません。しかし、経験の浅い社員が同じように対応できるとは限りません。
そこで同社は「経験の浅い社員も突き動かされて動くようにならないか」という発想から、案件管理を仕組み化することで、誰もが適切なタイミングで行動できる環境づくりを目指しました。
Excelでは一覧として情報を管理することはできても、状況に応じたネクストアクションを継続的に管理するには限界がありました。この課題を解決するため、兼八産業では長期案件を組織として継続的に管理できる仕組みが必要になったのです。
自社独自の営業プロセスを反映できる柔軟性が選定の決め手
こうした課題を解決する仕組みを模索する中で、兼八産業では他社のSFAを利用した後、自社で営業管理システムをスクラッチ開発した時期がありました。
案件管理の仕組みも含めて運用を重ねる中で、「見込み」「仕掛かり」といった独自の案件ステージを整備し、自社ならではの営業思想や営業プロセスを少しずつ磨き上げていきました。
一方、自社開発のシステムには限界もありました。必要な機能は自ら考えて追加しなければならず、システムの進化は自社が「何を求めるのか」に委ねられているという側面がありました。

僕が要求しないと機能が増えないじゃないですか。だから僕の能力が低いと、システムの能力も上がらない
この経験を通じて原社長が重視するようになったのが、自社で築き上げた営業思想やプロセスを、そのままシステムへ反映できる柔軟性でした。築き上げてきた運用を変えることなく、そのまま落とし込めるシステムこそが必要だという考えに至ったのです。
画面や項目、ワークフローまで自社の運用に合わせて設計できることに加え、全社展開を見据えたときコストを抑えながら運用しやすい点も、F-RevoCRMを導入する決め手となりました。
営業とサービスが同じ顧客情報を共有
F-RevoCRMの導入後、兼八産業では営業と保守サービス部門の双方が同じ顧客情報を活用できる基盤づくりを進めました。これは、事業の軸足を「売り切り型」から「保守・メンテナンス重視」へ転換したこととも深く関係しています。

大型案件の受注だけでなく、導入後も長く顧客と関係を築くことを同社は重視するようになりました。
その結果、サービスマンやフィールドエンジニアの比重が高まり、営業とサービスが役割を分担しながら顧客を支える体制へと変化していきました。
こうした体制では、営業担当だけが情報を持つ運用では十分ではありません。
急なメンテナンス対応では、メインの担当者とは別のサービス担当が現場へ向かうこともあるため、これまでの対応履歴や保守契約の状況を共有し、営業とサービスが同じ情報を参照できる仕組みが必要でした。
現在は、訪問履歴や修理履歴、保守契約の状況や期限といった情報をF-RevoCRMで共有・管理できる環境を整えています。
営業とサービスの双方が同じ情報を活用できることで、担当者が変わっても同じ情報をもとに対応できるようになり、営業とサービスが連携しやすい環境が整いました。
担当変更や緊急メンテナンスでも過去履歴を活用
F-RevoCRMの定着が進んだことで、兼八産業では顧客対応の継続性が大きく向上しました。
営業とサービスが同じ情報を活用できるようになったことで、担当者が変わっても過去の経緯を踏まえた対応が可能になり、組織全体で顧客を支える体制が根付き始めています。
特に効果を実感しているのが、人事異動や担当者の交代が発生した場面です。前任者がいなくても過去の訪問履歴や対応経緯を確認できるため、顧客に一から説明を求めることなく、スムーズに対応を引き継げるようになりました。

次の担当者も、お客様に『ゼロから教えてください』じゃなくて、スムーズに引き継げるように。そういう意味で、F-RevoCRMは活躍してくれていると思いますね
また、急な厨房機器のトラブルによる緊急メンテナンスでも、担当者以外のサービス担当が現場へ向かうケースがあります。
その際も、過去の訪問履歴や修理履歴を確認しながら対応できるため、担当者が変わっても適切な対応を継続できるようになりました。

過去の訪問履歴だとか過去にどういう修理をしたとか、そういうものを共有できるので、とても助かっていますね
「今はもうないと困る」と感じるほど、F-RevoCRMは日々の業務を支える基盤として定着しています。
一方で、同社では現在の運用を完成形とは捉えていません。定着が進んだ今も、消耗品管理の仕組みなど、ルール整備が十分ではない領域が残っており、今後も現場の運用に合わせながら、段階的な改善を進めていく予定です。

情報の「収集」から「活用」へ
F-RevoCRMを通じて顧客情報や活動履歴が蓄積されてきた今、兼八産業の関心は、そのデータをどう活かすかへ移っています。

情報収集のステージはある程度終わっていて、次は活用のステージですよね
まず取り組もうとしているのが、現場で発生している二重入力の削減です。
現在は、サービス担当が修理伝票を作成し、機器の修理履歴を管理するシステムにも情報を入力し、さらにF-RevoCRMにも同じ内容を登録する場面があります。こうした負荷を減らすため、今後は基幹システムや機器管理システムとの連携を進め、情報入力や管理の省力化を目指しています。
その先に見据えているのが、蓄積したデータを活かした営業機会の創出です。
すでに担当変更時の引き継ぎや情報共有は一定の成果を上げていますが、本来目指したいのは、それらの情報が次の営業機会や売上につながる状態です。
例えば、機器更新の提案や、顧客ごとの状況に応じて次に取るべきアクションを提示するなど、情報をより能動的に活かす方法を検討しています。

さらに今後は、AIを活用したサジェスト(顧客ごとの最適な提案を自動で示す機能)にも期待を寄せています。
具体的には、顧客情報や行動履歴に加え、営業研修で使ったテキストなどをAIが参照し、顧客ごとに次に取るべき行動や最適な提案内容をサジェストする構想です。
原社長が重視しているのは、AIそのものではなく、AIが活用する独自の顧客データです。
誰でも使える汎用的なAI機能だけでは差別化が難しい一方で、兼八産業には長年の顧客対応を通じて築いてきた独自の顧客接点データがあります。

フリーの機能だったら、競合他社も使えますよね。
じゃあ差別化するにはどうしたらいいのか。
もちろん独自にそういう仕組みを作るっていうのもありますけど、やっぱり情報です。
『うちしか持ってない情報が出てくる』ことが差別化かなって思っています
Excelや個人管理からの脱却に必要な考え方

兼八産業の事例は、Excelや個人管理に依存した状態から脱却し、顧客情報や対応履歴を組織全体で活用できる仕組みへと発展させてきた取り組みです。
若手社員の増加、保守・メンテナンス重視への事業転換、長期案件におけるネクストアクション管理といった課題に対し、同社は自社の営業思想に合ったF-RevoCRMを活用することで、営業とサービスが連携しながら顧客を支える体制を築いてきました。
さらに現在は、情報を集めること自体を目的とするのではなく、蓄積したデータを営業活動や顧客対応へどう活かすかという段階へと進んでいます。二重入力の削減による業務効率化や、AIを活用した営業支援の構想も、その延長線上にある取り組みです。
こうした兼八産業の歩みは、Excelや属人的な管理に限界を感じている企業にとっても、自社に合った仕組みづくりだけでなく、データを組織の資産として活かすための考え方を学べる事例です。
AI活用が進む今だからこそ、独自の顧客データを蓄積・活用できる基盤を整えることが、今後の競争力につながるといえるでしょう。

| 社名 | 兼八産業株式会社 |
| 住所 | 〒450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅5丁目22-33 |
| サイト | https://kane8.co.jp/ |
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兼八産業の事例は、CRMを単なる顧客管理ツールではなく、営業やサービス連携して顧客対応を支える仕組みとしている好事例です。
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