Interview-株式会社ミカサ
バイオトイレのIoT化
遠隔管理でF-RevoCRMを活用
2014年頃から急速に注目されるようになったIoT。この1、2年でいちだんと実用化が現実味を帯びてきました。
大分県でもIoTに積極的に取り組む動きがある中、大分市に事務所を構える株式会社ミカサは、IoTを活用してバイオトイレから発信される情報をF-RevoCRMで管理するという試みに取り組んでいます。
なぜバイオトイレにCRMを取り入れたのか、株式会社ミカサ代表の三笠 大志氏にお聞きしました。
【導入事例インタビュー】
株式会社ミカサ
IoT技術でバイオトイレの遠隔管理
【導入事例インタビュー】
株式会社ミカサ
IoT技術でバイオトイレの遠隔管理
株式会社ミカサについて
主な事業 | 自己処理型トイレ、バイオトイレ(コンポストトイレ) 製造・販売とレンタル、貸倉庫 |
平成元年 | 先代により起業、建設現場向けの仮設事務所、机椅子、仮設トイレのレンタルを行う |
平成5年~ 平成14年 | 建設不況に伴い、自社製品(燃焼式トイレ)の開発を進める富士山、北アルプス等山岳地域へ燃焼式トイレを設置 |
平成15年~ 現在 | 三笠氏、大分に戻り事業に参入 地球温暖化問題の流れで燃焼トイレの売れ行きが落ちる 燃焼式トイレに替わる「バイオトイレ」の開発を開始 建設会社や自治体に向けてのバイオトイレの販売・レンタルを開始 海外への販売にも挑戦する |
遠隔管理機能の設置とF-RevoCRMを選んだ理由
―バイオトイレに遠隔管理の機能を付けようと考えたきっかけって何ですか?
バイオトイレの使用は、1日の回数が決まっていて、それ以上使われると不具合の原因になってしまいます。でも、使う人は使用回数は気にしないから、どうしても限度を超えてしまう場合があるんです。
使用限度を超えると、バイオトイレの処理層が水分過多になります。そうなると、(木製の)チップを現地へ大量に運び、交換作業をする必要が出てきます。この作業を現場で行うのは大変なので、このチップ交換作業は無くしたいと思いました。
そこで、遠隔地でもwebを使ってトイレの使用回数がチェックできて、使用限度を超える前に注意喚起できるようになれば、メンテナンスの作業を減らせるし、遠方へ行く時間も経費も削減できると考えました。
―バイオトイレ遠隔管理機能の仕組み
IoT開発の核となるラズベリーパイを撹拌装置の基板に取り付ける事で、トイレの使用回数(撹拌回数)や撹拌庫内の温度を数値化する事と、取得したデータをサーバーへ送る命令を発信する事が可能になります。F-RevoCRMには標準機能としてAPIが備わっているため、サーバーに送られた送信データをキャッチし、F-RevoCRMシステムに取り込むことが可能になります。
この二つの機能により、遠方にあるのバイオトイレの情報を、自分のパソコンのweb画面上で確認する事ができます。
―バイオトイレにF-RevoCRMを選んだ理由を教えてください
金丸さんが、前職の同僚でして、シンキングリードの大分オフィスが発足した際にご挨拶に来られたのがきっかけですね。
バイオトイレもIoTの活用ができないかという思いはあって、CRMを使って、設置しているトイレの状況をデータで見える化して管理することができるという事を伺い、意見が合致しました。
シンキングリードがコンセプトとして、「物売り型」から「サービス型」へ移行していく企業形態を背景にサービス型に特化したCRMの重要性に注目してCRMシステム開発に取り組むようになりました。
そんな流れで、また金丸さんと一緒に何かができるという事は嬉しかったですね。また現実問題として、不具合が起こった場合に大分オフィスからすぐチェックに来てもらって解決してもらえるという点は 安心だし、シンキングリードさんを選んだ理由としては大きいと思います。
基板から受信したデータをF-RevoCRM上で管理
―導入にあたって苦労したことは何ですか?
シンキングリードとしては、普段システム開発には機械とか電気とかとは交わらないんです。今回初めて基板を利用してデータ受信しF-RevoCRM上で管理する取り組みを行っていますが、想定外のトラブルがありました(笑)
ミカサとしては、故障が発生した場合、それが基板側の問題なのか、データ送受信しているシステム側の問題なのか、それとも両方なのかというソフトとハード両面をチェックしなければいけないという点に苦労しました。
取り合えず、近場での運用を開始し、今の所大きな問題なく稼働できています。しかし今後様々な現場へ導入していくと、また別の問題が発生するだろうから完成までそう簡単にはいかないでしょうね。
―実際にF-RevoCRMを使用してみてどうでしたか?
福岡のマンションショールームにバイオトイレの設置依頼があったので、レンタル現場におけるIoT管理第1号として稼働をスタートさせました。
そこが、福岡市の中心街にある大規模なマンションショールームで、40人ほどの従業員用トイレとしてバイオトイレを設置しました。IoT管理を導入してみて強く感じたのが、やっぱり「見えていると安心」という事ですね。
今使用回数が20回で、かつ現在温度が40℃という具体的情報が、自分のパソコンの中で確認できるのは、安心感が全然違います。遠隔地で、かつマンションギャラリー。
そのような場所でチップ交換メンテナンスは、ギャラリーのイメージを考えると、とてもできません。ちょっと回数多いなと分かったら、すぐ電話でお伝えできる。本格的に運用開始できれば、バイオトイレの管理がかなりしやすくなると思います。
ちなみに、F-Revoに送る情報は使用回数の他にどんなものがあるんですか?
撹拌槽の温度と、撹拌モーターの電流値ですね。
今までは使用回数の上限超過でトラブル発生という事がほとんどだったんですが、今年は猛暑の影響なのか、チップが乾燥して、撹拌する時に粉塵が舞い上がってトイレの中に積もってしまうトラブルが起こったんです。
F-RevoCRMで遠隔管理できれば、利用回数が少なく、乾燥状態が想定される場合は、撹拌をストップしてもらうように指示を出すこともできますよね。
アフターフォローサービスとしての活用
―今後の事業、F-RevoCRMの活用について教えてください
お客様としては、今回のショールームの他にどんな企業がいらっしゃるんですか?
役所関係や建設現場が多いですね。あと、富士山であれば神社であったり。トイレの販売はほとんどが自治体です。レンタルは建設会社ですね。
いずれはお客さんにも利用回数等データを解放して確認できるようにする予定はありますか?
その辺はまだ未定ですが、例えば大分県の公園にトイレ設置しましたとなると、その管理人は大分県で、管理者が直接確認できるようになるといいですよね。
F-RevoCRMにカスタマ―ポータルという機能があるんですが、システムの画面とは別に、いわゆる「マイページ」みたいな役割の会員専用サイトの画面上でお客様がデータをチェックできるんです。その機能を使えば可能になると思います。大分県のいろんな場所にトイレを設置してた場合でも、それぞれのトイレの状況を同時にチェックする事も可能になると思います 。
バイオトイレの遠隔管理の開発は今後も進めていきますか?
はい。というのも、この遠隔管理の仕組みの目標はバイオトイレを販売したお客様へアフターフォローサービスとして提供したいと思っているからです。
今のところトイレを購入していただき、設置、稼働開始したらお客様との関係はひと段落します。もちろん故障やメンテナンスが発生し、要請があれば対応しています。しかしそういった要請が無ければ弊社からお客様へ積極的なフォローをすることは少ないのが現状です。
そこで、この仕組みをサービスとしてお客様にご提案できれば、お客様との良い関係も継続しつつ、故障やメンテナンスを減らすことになり、購入いただいたお客様の満足度を高めることができるのではと考えています。よって、今後もこの開発は継続し、より良いサービスへ発展させていきたいと思っています。
社名 | 株式会社ミカサ |
住所 | 〒870-0923 大分県大分市高城西町7-27 |
TEL | 097-551-8826 |
サイト | https://mikalet.jp/ |